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絵本作家・いしかわ こうじ エッセイ

「ボローニャ絵本原画展&イタリア旅行記」(2004/4)

絵本作家の登竜門として世界的に有名な「ボローニャ絵本原画展」に、僕の「コタロウの旅」が入選しました。 この展覧会に参加するため、2004年4月11日から25日にかけてイタリアを旅行しました。 ちなみに、ボローニャ絵本原画展は、世界中の児童書が一堂に会するボローニャ児童図書見本市の中のイベントです。
今回の旅行では、前半にボローニャ児童図書見本市を中心に見て、後半は北イタリアを電車で移動しながらペーパーわんこの写真をたくさん撮影しました。 この文章は、今回のイタリア旅行の簡単な日記として書いたものです。
4/11 夜 エールフランスで成田を出発。パリ経由でフィレンツェに向かう。

4/12 朝 フィレンツェに到着。駅から歩いて2分ほどのホテル「マキャベリパレス」に荷物を置いて、市内を観光。マザッチョの壁画などを見る。

4/13 フィレンツェの郊外に散策に出かける。街から遠く離れ、20キロくらいは歩いたと思う。緑と花と光、鳥の声が美しかった。

4/14 ボローニャ見本市の初日。会場にはユーロスターで1時間、駅からバスで10分。けっこう快適だ。
会場をざっと見たあと、くもん出版の山田さん、長谷さん、原さんと昼食。食堂でイラストレーターの三浦くんに声をかけられる。彼は今年3回目の入選だそうで、見本市のことなどいろいろ教えてもらった。
夜は、板橋区立美術館の松岡さんの企画された、絵本原画展入選者を中心とした食事会に参加。

4/15 現地で松岡さんのお手伝いをしているアヤミさんに、会場のレポーターを頼まれたので、午前中、会場の主要なブースを見て回り、おもしろそうな出版社をリストアップする。
午後は、会場のレポートをビデオ収録。パリのマンゴー社、アメリカのクリエイティブカンパニー、それにイタリアの小さな出版社などを紹介する。3時に待ち合わせていたイラストレーターのジョン・シェリーさんとお茶をする。彼は3冊の本の詳細なダミーを持ってきて、いろんな出版社にてきぱきと会っているそうだ。さすが!だ。お子さんも生まれ(ヘレンちゃん1歳)、奥さんともとてもうまくいっているみたいで、よかった。  僕も入選作「コタロウの旅」を元に作った絵本のダミーや「100ぴきの犬がかえる本」を見てもらおうと、2社ほど声をかけてみるが、忙しいのでと断られる。なかなかきびしい。4時からは、くもん出版の山田さんとモランディ美術館などを見てボローニャの市内観光。モランディの作品はやはりすばらしいし、アトリエを再現した部屋もあっておもしろかった。夜は、くもん出版の皆さんのお誘いで、いくつかの日本の出版社の方たちとの夕食会に参加する。とてもおいしくて、楽しかった。

4/16 11時半から、絵本原画展の審査員による講評会が開かれる。
4人の審査員がそれぞれ3人ほどの気に入った作品について語る。フランスの審査員ザビエルさんが僕の作品をとても気に入っていてくれて、取り上げてもらった。
続く表彰式では、ザビエルさんから表彰状をもらい、その後には板橋区立美術館のはからいで、ザビエルさんとの簡単な対談&インタビューも行った。
「100ぴきの犬がかえる本」をお見せしたところ、「とてもおもしろい。ヨーロッパでも出版するといいね。」と言ってくれた。これで元気が出て、フランスのいくつかの出版社に行って、今度は作品を見てもらうことができた。みなさんに「とてもおもしろい」と言ってもらい好感触。夜は、学研の吉田さんのお誘いで、イタリアとスペインのイラストレーターたちとの夕食会。イタリア語とスペイン語と英語と日本語が飛び交う、楽しい時間だった。

4/17 くもん出版のみなさんとフィレンツェを観光する。フラアンジェリコの壁画はやはりすばらしい!

4/18 朝、フィレンツェを発ち、バスでサンジミニャーノに行く。
街の中心にあるクラシックなホテル「ラ・チステルナ」の見晴らしのいい部屋を取れた。中世の街がよく保存された城塞都市だ。街から見る、田園風景も本当に美しかった。

4/19 午前中、 サンジミニャーノを散策。ペーパーわんこ写真をたくさん撮る。午後、天気が悪くなってきたところで切り上げ、バスと電車でピサに移動。
ピサの斜塔は思っていた以上に傾いていて、本当に危なっかしい。ガイド本の情報であきらめていたのだが、思いがけず斜塔に登ることができた。斜塔の最上階からの眺めは、予想よりもずっとすばらしかった。周囲に高い建物が全くないので、本当に遠くまで360度見渡せるのだ。ピサの街自体は、それほどみどころは多くなく、やはり斜塔の街、という印象。でも街角では、いくつかいいペーパーわんこ写真がとれた。これは「暮らしの風」誌の表紙に発表できそうだ。

4/20 朝、斜塔を再び撮影した後、東リビエラのラ・スペシアに向かう。駅の近くにあったフィレンツェホテルに宿泊することにした。ツインの広い部屋を用意してくれ、なかなか快適。
ラ・スペシアを観光した後、チンクエ・ティッレ(5つの村)のひとつ、モンテロッソに電車で行く。前から憧れていた場所だ。晴れた日の地中海は、信じられないくらい青い!

4/21 朝、モンテロッソに移動し、バイアというホテルに宿を取る。ここは全体におしゃれでモダンな雰囲気で、専用庭付きの広い部屋を用意してくれてよかった。
モンテロッソで写真を撮ったあと、電車でヴェルナッツァ、リオマッジョーレ、マナローラを移動しながら観光。
リオマッジョーレからマナローラへは、愛の散歩道という名の海岸沿いの絶景の道を歩いて30分くらいだった。チンクエ・ティッレのうち4つの村を回ったが、どこもとてもすばらしかった。

4/22  快晴。モンテロッソで海の写真などを撮ったあと、昼に電車でジェノヴァに移動。
ジェノヴァは2回めだが、やはりいい街だ。ホテルはサボイア マジェスティックというジェノヴァ有数の高級ホテル。少しカジュアルなコンチネンタルの方を予約してあったのだが、そちらは閉めていて、マジェスティックの方にランクアップしてくれた。お得。ボローニャで知り合ったミラノ在住のイラストレーター、ダビデくんとマユちゃんに電話。ミラノに遊びに行けたら、とも思ったのだが、時間がタイトで残念ながら今回はあきらめた。

4/23 リビエラ海岸沿いを走る電車で、ジェノヴァから1時間ほどのアラッシオという街に行く。
ニースを小ぶりにしたような、しゃれたリゾート地でとても気に入った。
昼過ぎに隣のアルベンガという街(こちらはしゃれた住宅地といった感じで見所は少なかった)に行ったあと、再びアラッシオに戻って夕刻まで写真を撮る。 ここにはまたゆっくり来てみたいと思った。

4/24 イタリア滞在最後の日。朝食を食べずにチェックアウトし、ジェノヴァから電車と船でポルトフィーノに行く。ここも2度目の訪問。
この街は、おそらく東京ディズニーシーの港町のモデルになっていると思う。丘の上から見下ろした港の景観は美しい。ただ、チンクエ・ティッレに比べると、観光地っぽさが強すぎる気もする。
昼過ぎにジェノバに戻り、旧市街を中心に散策。このあたりは道幅が極端に狭く、イタリアというよりモロッコあたりの歓楽街(行ったことはないのだが)みたいで、かなりやばい雰囲気が魅力。夕方にジェノバ空港から、パリ経由で成田に向かう。

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